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所有経済から使用経済へ [今日の日経記事から]


東京・両国の江戸東京博物館に行くと、長屋の模型などから江戸時代の生活がよくわかる。百万人もの人々が家財は少なくても何とか生活していたことに感心する。現在の生活はなんと多くのモノに囲まれていることか!


しかし変化は見える。最低限のモノしか持たず不要になれば手放す人や、サブスクリプション(定額課金)やシェアリングなどでモノを持たずに使う人が増えている。企業も、リース、外注、在宅勤務などを通じて設備の所有を減らしながら業務水準を維持している。モノを持たずに使う経済へと変化しつつある。


家計や企業がモノを使い続けるならば、モノの実質的な需要量は減らない。米国の実質GDP(国内総生産)に占める財・構築物の比率は、1960年代からあまり低下していない。しかしモノの所有にお金を使わなくなったことでモノへの支出額は減り、財・構築物が名目GDPに占める比率は低下している。必要とされるモノでも、それを作るだけではもうからない。


景気循環も変質する。モノを持たない経済では、在庫・設備投資の調整による景気変動が小さくなるだろう。また、経済のグローバル化、ネットワーク化により、世界中のモノやサービスが必要に応じて即座に提供されることで、物価は動きにくくなる。そのため「景気拡大→インフレ率上昇→金利上昇→景気後退」という循環が薄れる。


ただ人の移動には限界があり、労働需給が逼迫すれば賃金は上昇する。しかしモノやサービスの価格は動かず、企業利益が圧迫される。結果として「景気拡大→賃金上昇→企業利益低下→景気後退」という循環が強まる。物価が安定していても、経済が安定するとは限らない。物価安定という金融政策の目標も見直さざるを得ないだろう。

【所感】
 歴史は繰り返すと言うが、それは教訓を活かして良い事例を再現するものであって欲しい。

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