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SNS直売 生産者救う [今日の日経記事から]

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛で行き場を失った食材が、SNS(交流サイト)を通じて消費者の手にわたるようになってきた。旅館やレストランなどへの卸販売のみだった生産者が一般向け販売を始め、チャット機能などで消費者と直接言葉を交わす場面も。「大きな励みになった」と新たな出会いに感謝しつつ、早期の収束を祈っている。

「きれいな海で稚魚から大切に育てたタイが行き場を失いました。皆様のお力を貸してください」

4月下旬に「フェイスブック」で訴えたのは、長崎県佐世保市で漁業を営む田島祐幸さん。これまで仲買を通じて旅館などに魚を販売していたが、新型コロナの影響で軒並み休業。4月の売り上げは前年同月比9割減に落ち込み、月100万円以上の餌代が重くのしかかっていた。

売りは「神経締め」という鮮度を保つ高い処理技術。一般消費者にも支持されると考え、創業約30年で初めての個人向け販売に挑戦した。

価格を通常の3~4割引きとし、家庭でも調理しやすいよう加工するなど工夫を凝らすと、全国各地から約300件の注文が舞い込んだ。1匹ずつ重さを量ったり、購入者への配送連絡などを少人数でこなし、作業が深夜0時までずれ込むこともあるが、購入者からチャット機能で「おいしかった」「リピートします」などの感想が届いた。

売り上げは新型コロナ以前の水準には届かないものの、「今までどこでどんな料理として出されているかも分からず、消費者の声を直接聞くことはなかった。大きな励みになっている」と笑顔を見せる。

山形県天童市でさくらんぼ農園を営む高橋仁さんも投稿した一人。温室で育てるさくらんぼは3月下旬から6月初めが旬で、有機肥料・減農薬にこだわってきたが、出荷先の百貨店が休業し注文が全く入らなくなった。燃料費だけで年間400万円以上かかり、経営は一気に厳しくなった。

投稿には予想以上の反響があった。SNSを通じた販売は初めてで、オンライン決済手段がないため通帳で入金確認をしたり、配送したかを1件ずつチェックしたりと慣れない作業に追われたが、予定していた50箱は完売。その後も注文が相次ぎ「本来なら売り上げゼロのところが、例年の6割まで戻せた」という。

「受注管理など克服すべき面もあるが、コロナが一段落した後もSNSを通じた直売のしくみを考えていきたい」と前を向く。

田島さんや高橋さんが投稿したのは、フェイスブックの「コロナ支援・訳あり商品情報グループ」。30万人超が参加し、その大半が消費者だ。生産者側が商品や値引き幅などの情報を投稿し、コメントやチャットなどを通じて消費者と直接やりとりしている。


横浜市に住む40代の専業主婦は、普段購入しないウニやいくらなどをここで注文。事業者から手紙も受け取ったといい、「通販をしていない事業者が多いので通常なら味わえない食を家族で堪能できた。生産者の思いを知り、より味わおうという気持ちにもなった。コロナが収束したら、現地に行きたい」という。

緊急事態宣言は東京都など首都圏の4都県と北海道を除き解除されたが、「第2波」への警戒感は強く、飲食店への客足が戻るのはまだ先になりそうだ。

消費者心理に詳しい育英短期大の泉水清志教授(社会心理)は「SNSはもともと個人間のつながりがベース。生産者が自らの状況を説明し、共感した消費者と直接つながることで、お互いがただの他人ではなくなり、購入する際の安心感や満足感が高まる」と指摘する。

SNSを介した売買は新型コロナを機に活性化しているといい、泉水教授は「消費の形として、ひとつの選択肢になっていくのではないか」と話している。

【所感】
人の心の繋がりを感じさせる記事。日経新聞の記事には時々感動させられる。
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