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パリ協定、後ろ向き続出 温暖化ガス削減に温度差 [今日の日経記事から]

2020年から本格運用が始まった地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に背を向ける国が主要国で続出している。11月に正式離脱を控える米国のほか、かつて環境先進国だったブラジルやオーストラリアが消極姿勢を示す。日本も提出する温暖化ガスの削減目標について上積みを見送る見通しだ。国連は2月ごろから削減目標の提出を求める。各国の動きはにぶく、パリ協定は船出から試練を迎えている。


「今世紀半ばに温暖化ガス排出量を実質ゼロにできるか今年は節目の年だ」。国連のグテレス事務総長は9日の記者会見で強調した。1月には米中日、インド、ロシアなど主要国を名指しし温暖化対策の強化を求めた。


パリ協定に先行して1997年に採択された「京都議定書」は、先進国だけに排出削減を義務付けた。中国やインドなど新興国の排出量が増え、先進国の不満が高まり削減は滞った。反省を踏まえ、パリ協定は発展途上国にも排出削減を求めた。ただ、すでに各国の取り組みには差がある。


排出量2位の米国はパリ協定からの離脱を表明済み。1位の中国や3位のインドは再生可能エネルギーや低炭素技術の導入を進めるなどとする。「我々は新興国。先進国が先行して対策を示すべきだ」との立場で、率先して石炭火力を廃止するといった動きはない。


かつての環境先進国にも消極的な国がある。石炭などの化石燃料に経済を依存するオーストラリアだ。全土に拡大した山火事は気候変動が一因とみられ、化石燃料産業の縮小を求める声も出る。モリソン首相は「雇用が失われる」などと擁護する。島しょ国は批判を繰り返しており、オーストラリアは南太平洋諸国の盟主的な存在だったものの、温暖化対策を巡り亀裂を生んだ格好だ。


19年に森林火災が多発したブラジルも対策に及び腰だ。ボルソナロ政権は温暖化に懐疑的で、熱帯雨林アマゾンの開発を推進している。


対策に積極的なのは欧州連合(EU)だ。欧州委員会は1月、域内で温暖化ガスの排出を50年に実質ゼロとするために120兆円に上る投資を今後10年間で実施する計画を発表した。


欧州も一枚岩ではない。発電の8割を石炭に頼る主要国ポーランドは実質ゼロ目標への参加を見送った。1月に訪日した同国のクリティカ気候相は、小泉進次郎環境相に原子力や省エネ技術での協力を求めた。石炭火力に依存しながら脱炭素化する方法を模索しており、急速にかじを切るEUとは一線を画す。


各国の温度差は19年12月の第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)でも表れた。合意文書の記述を巡り、EUや島しょ国が削減目標の引き上げを各国に促す内容にしようと訴えた。ブラジルやインドなどが反対し、努力を促す表現にとどまった。


国連は削減目標の引き上げを求めている。パリ協定は地球の気温上昇を産業革命前の2度以内に抑える目標を掲げる。すでに各国が策定した削減目標を足し合わせても3.2度上がる。パリ協定が有効に働くためには、各国が20年中に提出する目標が意欲的なものである必要がある。


パリ協定のルールでは11月開催予定のCOP26の9カ月前までの削減目標の提出を求めていた。各国とも実質的にはCOP26直前まで遅れるとみられている。

小泉環境相は17日の記者会見で「日本の目標が国際社会に前向きに伝わることが大事」と述べた。日本は提出する削減目標について、新型コロナウイルスの感染拡大への対応に伴い時期は流動的ではあるものの政府決定する。石炭火力の廃止などを打ち出すことは難しく、目標の上積みも現状では厳しい。

各国の事情は異なり国際協調は簡単ではなく、合わせる努力を怠れば、すぐにでもパリ協定の実効性は失われる。

【所感】
環境問題という人類共通の問題に足並みをそろえて立ち向かえない今の世界。
コロナウイルスが地球から人類への警鐘のように思えてきた。
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