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原油130ドルなら今年度の経常赤字16兆円試算 42年ぶり転落も、円安と共振の恐れ [今日の日経記事から]

資源価格の高騰で2022年度の経常収支(総合2面きょうのことば)が42年ぶりに赤字に転じる可能性が出てきた。日本経済新聞の試算では、為替が1ドル=120円、原油が1バレル130ドルなら、22年度は16兆円の経常赤字になる。円安が輸出金額を増やして経常赤字を減らす効果が低下し、資源高と円安で国外に資金が流出する影響が大きくなる。

経常収支が赤字になれば年間では1980年以来、年度では統計が遡れる96年度以降で初めてとなる。


財務省が8日発表した22年2月の国際収支統計(速報)によると、モノやサービス、利子・配当金のやり取りなどを示す経常収支の黒字は1兆6483億円と前年同月比42.5%減だった。1月まで、2カ月続けて貿易収支の大幅な赤字が経常赤字につながっていた。2月は中国の春節(旧正月)明けで日本からの輸出が増え、貿易赤字が縮んだ。2月は米国債の利払いを受け取る月にもあたる。このため、経常収支は3カ月ぶりに黒字に転換した。SMBC日興証券の宮前耕也氏は「春以降は季節変動の要因をならしても経常赤字に転じる可能性が高い」と指摘する。

日本経済新聞が「NEEDS日本経済モデル」で試算したところ、22年度に円相場が1ドル=116円、原油が1バレル105ドルの「標準シナリオ」では1年間に8.6兆円の経常赤字が見込まれる。

原油価格の国際指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物(期近)は2月末の1バレル95ドルから3月上旬には一時130ドル超に上昇、4月も100ドル前後で高止まりしている。原油価格が1バレル130ドルなら、通年の経常赤字は16兆円に膨らむ。名目GDP(国内総生産)比で3%に当たる。

原油や天然ガスのほぼ全てを輸入に頼る日本では、原油高が経常収支に与える影響が大きい。原油価格の上昇はGDPの5割強を占める個人消費だけでなく、生産活動などに原油が欠かせない企業の設備投資も冷え込ませる。原油価格が130ドルの場合、実質経済成長率は0.3ポイント下振れて1.8%となる。

円安は自動車などの輸出の増加などを通じ経済全体を押し上げるとされてきた。原油価格が105ドルで横ばいとしても、1ドル=130円まで円安が進んでもなお経常収支は赤字だ。試算では経常収支が黒字化するには原油価格が90ドルまで低下し、140円まで円安が加速する必要がある。

経常収支のうち、貿易収支は円安が進むほど赤字が拡大する。原油価格が105ドルの場合、1ドル=110円なら22年度は22.7兆円の貿易赤字だが、130円では25.4兆円に膨らむ。過去の円高局面で企業の生産拠点は海外に移転しており輸出増を通じて貿易黒字が増える構図は変わった。

経常赤字の拡大は円売りを誘うリスクもある。ウクライナ侵攻など地政学リスクの高まりにもかかわらず、かつてみられた「リスク回避の円買い」は消滅しつつある。資源や穀物はドル決済が多く、企業は手持ちの円を売って、ドルを買っている。実需面でも円売り圧力が増している。大和証券の試算によると22年の外為市場では16兆円の円売りが生じる見通しだという。

【所感】
戦争状態の継続は平和のみならず経済にも大きく悪影響を及ぼす。
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