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経済か収束か 探る世界 [今日の日経記事から]

新型コロナウイルスへの感染再拡大を防ぎながら経済をどう正常化させていくか。世界はそのバランスを探るステージに入った。外出規制の緩和などによる景況感の回復が鮮明な米英などでは感染再拡大への懸念もくすぶる。新規感染の抑制という点で優等生の日本は景況感の回復が鈍い。コロナ危機の長期化を前提に経済の耐性を高めていく「ウィズ・コロナ」の戦略が問われている。


経済活動の制限と景況感の関係を調べるため、英オックスフォード大学の算出する都市封鎖の厳格度指数を用いて分析した。外出禁止や企業活動の制限など9つの指標をもとに厳格度をゼロから100の間で指数化。数値が大きいほど制限が厳しい。

この指数と、企業の購買担当者への聞き取りによって景況感をはかる購買担当者景気指数(PMI、50超で改善、50未満で悪化を示す)の関係を調べると、「厳しい都市封鎖をした国ほど経済が悪化した」(大和総研の山崎加津子氏)ことが裏付けられた。都市封鎖を徹底すれば感染の収束を早められるが、失業などの副作用も大きいためだ。

フランスやイタリアの厳格度指数は5月上旬まで主要国の中で最も高い90以上で推移した。フランスは3月から医療崩壊を食い止めるためあらゆる活動を制限。同国の4月の総合PMIは11台と過去最低に沈んだ。


済的に犠牲を払ったものの、厳しい都市封鎖戦略は功を奏したように見える。ドイツやフランスは10万人あたりの新規感染者を1~2人の水準にまで低下させ、その段階で外出規制などの緩和に踏み切った。その結果いまのところ感染は抑制されている。同時にフランスでは失業状態にある従業員に支払う給与を国が全額負担するなど手厚い経済対策を講じたことで、規制緩和後の景況感も回復傾向が鮮明だ。


欧州に対して、米国はニューヨーク州など感染爆発に見舞われた一部地域を除いて規制が緩い。州の権限が大きく、国全体での厳しい規制が難しいためだ。


米英は経済を優先した結果、景況の落ち込みは相対的に小さい。GAFAを代表格に産業のデジタルシフトで大きく先行していることもコロナ危機の経済への影響を和らげる効果をもたらしたとみられる。もっとも経済優先の戦略には危うさも伴う。人口10万人あたり6人を超える水準で規制を緩和したことで新規感染者は依然高水準が続く。


緊急事態宣言に強制力がない日本の厳格度指数は低い。その割に景気の落ち込みが大きいのは「アジアへの貿易依存の高さに加え、(国民が)自主的に社会的距離の確保に動いたからだ」(IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン氏)。


米グーグルの移動データを見ると、街の人出は欧米に比べると全体的には多いが、国民の自粛ムードを反映しやすい小売店・娯楽施設(7日移動平均)は日本の方が米国より落ち込む。


日本は2019年10~12月期にマイナス成長に転じるなど、コロナ危機の前から経済環境が悪化していたこともあるが、中小企業支援など経済対策がスピードに欠け、効果を上げていないことが景況感の回復遅れにつながっている可能性がある。米国のようにコロナ危機への耐性が強いデジタルビジネスをどう後押ししていくかも大きな課題だ。

ワクチンや特効薬が開発され、大量に使用できるようにならない限りコロナとの闘いは続くとみられる。感染抑制と経済維持のバランスをどう見いだすか。そのかじ取りの巧拙がコロナ後の世界の勢力図を決めることにもなる。

【所感】
世界共通の課題。個人的にはグーグルのデータでここまで分析できることも驚きである。

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