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老いの力 俳優 長塚京三 [今日の日経記事から]

よほどの幸運か不運に見舞われない限り、明日といわず、明後日もその先も、私がとっておきの楽しい話題を、ひと様に提供できるとはとても思えない。

コロナの蔓延(まんえん)と歩調を合わせるように、進行中の企画が次々と没になったのは二年半ほど前のことだ。

そうか、こういう事態も起こりうるのかと気を取り直し、次の成り行きに備えて警戒態勢に入った私だが、いかに「待つのが仕事のうち」とはいえ、そこからが長かった。この歳でコロナ禍と遭遇する間の悪さに、運命の皮肉を感じた。ふと気がつけば、三度目の正月だ。

必要ないからひと前に出ない。そうするうちにも加齢は進み、私の気配は薄まる一方。代わりにここぞとばかり、老醜が顔を出す。

もしかして私は、「世代交代に拍車をかけるため、高齢者から順に排除する」という、コロナの世界戦略にでもはまったのか。

コロナの引退勧告は、お為(ため)ごかしの親切心で一杯である。「自分(コロナ)のせいにしていいから」とか、「この機を逃したら後はないぞ」とか。

何だか心配させるようなことばかり言うようだが、私は大丈夫。コロナに意思などない。そして、老いる力は存外強靱(きょうじん)だ。

いまの私には、真っ当に老いることが生きること。ひとつ老いの力を恃(たの)んで、「老優」を楽しんでみようかと思うくらいだ。

でも今年、運転だけは卒業することにした。万が一にもひと様に迷惑をかけてはいけない。軽井沢にも公共交通機関で通います。今年もどうぞよろしく。

【所感】
俳優長塚京三さんのコロナ観。免許返上の話。実際に聞いたことはないが同世代の高齢者も同じような思いを抱いているのかと考えさせられました。
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