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偽ニュースに弱い日本 検証法「知る」2割のみ 監視体制の整備急務 [今日の日経記事から]

民主主義を支える正確な情報。その基盤を脅かすフェイクニュースに日本の備えが乏しい。日本経済新聞などの調査で、情報の真偽を確認する「ファクトチェック」の手段を知る人の割合はアジア主要国で最下位に沈んだ。監視機関も海外に比べて少ない。人工知能(AI)の普及で、ネット上には本物と見分けのつかない画像もあふれる。対策の強化が急がれる。


この2月、ベネズエラで数百万人が休暇中に旅行に出かけたとの情報が拡散した。2024年に予定する大統領選を前に国の貧しさを隠そうとする偽ニュースを伝えたのは実在しないキャスター。顔や音声をAIが生成していた。

先進国も他人事ではない。米国では5月、国防総省で爆発が起きたというデマが飛び交い、株価が急落した。22年秋の静岡県の豪雨の際は街が水没する偽画像が出回った。

備えは十分か。日本経済新聞はシンガポールの南洋理工大学と23年3月にかけてアジア10カ国・地域の約7000人を調査した。偽ニュースに接した経験がある割合は最も低い日本で75%に達し、国・地域による差はあまりない。

違いが大きいのは真偽を検証するファクトチェックサイトの利用法などを知っている割合だ。日本は19%で首位ベトナム(81%)の4分の1以下。9位の韓国(34%)にも遠く及ばない最下位だった。

米デューク大学によると、日本にファクトチェック関連サイトは日本ファクトチェックセンターなど5つのみ。米国(78サイト)など主要国より大幅に少ない。


半面、日本は新聞など伝統的メディアが存在感を保つ。社会科学者らによる17~22年の「世界価値観調査」で従来メディアを信頼すると答えた割合は69%。マレーシア(38%)やタイ(50%)を上回る。

アジアの市民がメディアに懐疑的なのは政府や党が情報を統制しているとの見方があるためだ。ベトナムは政府が「フェイクニュース」を判断・公表する。国民は玉石混交の情報に身構えている。

多言語国家のフィリピンやシンガポールは中国語や英語の偽情報が流入する。南洋理工大のタンドック准教授は「早くから危機意識が共有され、ファクトチェックサイトなどの利用が進んだ」とみる。

インドネシアのファクトチェック団体マフィンドは累計1万件超の偽ニュース情報を公表している。「政治的分断などで急増している。対策を知ることが大切」と共同創始者のヌグロホ氏は強調する。


日本も安穏とはしていられない。直近1年間で偽ニュースに接する頻度が「増えた」と31%が回答し、「減った」(4%)を大幅に上回る。分野は「新型コロナなど健康情報」が28%で最も多い。「国際情勢」が17%で続く。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などの危機下で偽ニュースの検索頻度が上昇している。

日本ファクトチェックセンターの古田大輔編集長は「生成AIの進歩で拡散ペースが加速する」と指摘する。リアルな画像・動画を簡単に作れ、真偽の見極めが難しくなる。

偽ニュースは選挙での世論工作など安全保障の脅威にもなる。米国は国土安全保障省傘下の専門機関が監視する体制を整えた。日本も外務省が23年度にAIで偽情報を分析するシステムを立ち上げる。

犯罪を誘う闇サイトや差別をあおるメッセージもあふれるデジタル時代。信頼できる情報をより分ける手段やインフラが整わないままでは社会の底が抜けかねない。

【所感】
なかなかショッキングかつ興味深い記事。そもそもファクトチェックを知っている人をどの水準ととらえているのかを知りたい。
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