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ハヤシライス トマト・具材、絶妙な融合 [今日の日経記事から]


我が輩が東京に初めて出てきて、レストランのメニューに「ハヤシライス」と書いてあるのを見たとき、林某(なにがし)さんが最初に編み出した料理なのだろうと思っていた。ところが後日調べると、牛肉の薄切りとタマネギを主体とした材料を、トマトソースやトマトケチャップで煮込んだ西洋料理で、それをご飯にかけて食べるものだということを知って苦笑いしたことを覚えている。

以後、時々街で「ハヤシライス」を見つけると、懐かしさもあって注文した。そのうち自分で作ってみたいと思い、幾度か挑戦した結果、あまり手のかからない俺流の作り方に至った。我が輩1人分を作るとすれば次のようだ。用意するのは牛もも肉50グラム、ジャガイモ40グラム、タマネギ40グラム、塩1.6グラム、小麦粉7グラム、トマトソース大さじ4、バター20グラム。


肉は薄切り、ジャガイモは皮をむいてイチョウ切り、タマネギは薄切り。鍋にバター10グラムを溶かし、肉とタマネギを炒めて別の器に取り出す。鍋に残りのバターと小麦粉を入れて火にかけ、小麦粉が茶色になるまで炒める(ブラウンルウという)。別の鍋でジャガイモを200ミリリットルの水で煮る。やわらかくなったらそのゆで汁でブラウンルウを溶き、トマトソース、肉とタマネギを入れ、塩味をつけて煮込む。汁が約100ミリリットルぐらいになったら出来上がり。


カレー用の皿に温かい飯を盛り、その脇にハヤシルウをどろりとかけ置いて食べる。カレー用スプーンで飯とハヤシルウの重なる辺りをざっとすくい取り、口に入れてかんだ。瞬時にトマトソースから太陽の匂いのようなトマトの日なた香や、ローレルやオレガノなどのハーブの香りが鼻孔から抜けてきた。


口の中では牛肉の濃厚なうま味やタマネギからの上品な甘み、ジャガイモの特有のコク、トマトソースからの軽い酸味と爽快なトマトの甘みなどが、実に複雑に融合し合って絶妙である。今度は飯の耽美(たんび)なほどのうま味と甘みとが包み込むからたまらない。それからはガツガツ、ムシャムシャ、モグモグ、ペロペロと一心不乱の無我夢中、気づいてみたときには皿には飯の一粒どころかルウの一塊もないありさまであった。


ハヤシルウを多く作ってしまったとき、丼飯にぶっかけてハヤシライス丼をつくったことがある。だけど、よく考えてみると通常のハヤシライスと同じ食べ方と気づき、それならばハヤシオムライス丼にしてみようと考えた。丼に盛った温かい飯の上にフワフワ、トロトロに仕上げたスクランブルエッグをのせ、その上にハヤシルウを掛けたものである。


ところがそれがとても美味で、我が輩は目からうろこであった。卵のフワフワ、トロトロとした舌触りが、ルウのドロリとした食感とぴったり合い、ルウの濃厚なうま味がスクランブルエッグの軽快なうま味とペナペナとしたコクに踊らされ、それを飯の優雅なうま味と甘みにはやされて、その丼飯もあっという間に底をさらけ出してしまうのであった。

【所感】
無性にハヤシライスが食べたくなった(笑)。
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